ポピュラー音楽理論とは?

このコラムは本来であれば使える音楽理論の第二弾の動画として公開する予定のものでした。
しかしテーマ的に多少マニアックなのと私の音楽観が中心の内容でしたので
「使える」というコンセプトから外れているように思いました。
ですので急遽録音した音声の書きおこしを元にコラム化しました。

おそらくこのページをご覧になっている方は
なんとなく音楽理論の必要性を感じていたり、
理論に対しての興味、関心があるかと思います。

でもそもそも音楽理論とは何なのか?

というそもそも論を考えたことがある方は意外に少ないのではないのかなと思いますし、
音楽理論という言葉もなんか一人歩きしている印象があります。
ですのでこのコラムでは世の中で言われている一般論と私自身の考えの両面を書いていきます。

まずタイトルのポピュラー音楽理論について語る前に
ポピュラー音楽の定義についてハッキリさせておきましょう。

・ポピュラー音楽とは?
Live Music Vector
ポップス、ロック、ジャズ、ブルース、ボサノバ、R&B、クラブミュージックなども含めた
クラシックや民族音楽を除いた現代の大衆音楽全般のことを指します。
今あげたジャンルもあくまでおおまかな目安にしかすぎませんし
もっと細分化すればいくらでも追加できます。

人によってはこれはポピュラー音楽じゃないだろうってジャンルもあるかと思いますし、
これとこれを同じカテゴリーにするなよって思う方もいるかもしれませんが
ここではこの後の話をスムーズにするために
クラシックや民族音楽を除外した現代の大衆音楽の総称という意味でポピュラー音楽と呼ばせてください。

では本題に戻りますが
早い話、ポピュラー音楽理論とはポピュラー音楽で使われている理論のことです。
そのまんまですね(笑)。

巷で言われるジャズ理論だったり、バークリーメソッドと呼ばれるものもこの中に含まれます。
(異論のある方もいるかもしれませんがこのコラムでは含ませてください)

さっき上げたようにポピュラー音楽だけでも様々なジャンルが存在しますし、
目指す方向性や志向も人それぞれですが、
ほとんどのジャンルがコードを基準として楽曲や演奏の内容が構成されていたり、
ガイドにしていることが多いことに関しては共通しています。

例えば英語を勉強するとします。
その目的や理由は留学のため、仕事のため、資格取得のため、
外国人の友達や恋人を作るためなど人それぞれなわけですが
TPOは変わったとしても英語の仕組み自体がシチュエーションによって変わるわけではありません。

留学目的である程度英語をマスターした人が
その英語力を活かして外国人の友達や恋人を作ることが可能なように
音楽理論も一度マスターしてしまえば多くのジャンルで応用可能です。

ある意味ポピュラー系のミュージシャンにとっての共通言語のようなものですので
作家やプレイヤーの方はもちろんのこと、
バンドマン、シンガーソングライター、トラックメイカーやDJの方も学んでおいて損はありません。

でもなぜ音楽理論の前にポピュラーという前提をつけているのかというと
音楽理論といっても音楽の数だけ理論があります。
クラシックもそうですし、例えばインド音楽やアラブ音楽の理論もあります。
(個人的に今インドやアラブの音楽理論を学びたかったりします)

ちなみに私が専門にしているのはポピュラー音楽の理論で
レッスンやレッスンの動画もポピュラー音楽理論の内容に沿っています。
ですのでポピュラー音楽以外の音楽では通用しない場面もあります。

例えば英語は世界で最も使われている言語ですが
世界中で通じるかと言われれば必ずしもそうとは限らないのと同じ話です。

でも全てが無関係なのかと言われるとそうでもなくて
例えば日本語と中国語では漢字という点では重なる部分もあるように
音楽理論にも重なる部分や共通点があります。

特にポピュラー音楽理論はクラシックの理論の延長上にあるといっても過言ではないので
例えばクラシックの音楽理論を習得した方はポピュラー音楽の理論を学ぶのは
ゼロから学ぶよりは全然簡単ですし、その逆も然りです。

では具体的にクラシックの理論とポピュラー音楽での理論は何が違うのか。
民族音楽とポピュラー音楽が違うのはなんとなく想像がつくかと思いますが
クラシックとポピュラーは何が違うのか、簡単に比較してみます。

クラシックの音楽理論には大きく分けて2つの分野があります。

まずは対位法。
早い話メロディについての理論です。

もう一つは和声。
こちらはハーモニーの理論でポピュラー音楽理論ではこの和声の方をメインに学びます。
IMG_1371
一応メロディに関してもタッチしないこともありませんが
ポピュラーではクラシックほどルールらしいルールがほとんどありません。
理論というよりほとんどコツ程度の扱い、というのが正直なところだと思います。

極論、耳で聴いていい感じだったらOKだったりするので
この辺りがクラシック系の人からしたら
適当とかザルとか呼ばれてしまう原因の一つなのかもしれません。

前述の通り、ポピュラー音楽理論ではハーモニーの理論、
コードについて主に学びますので
音楽理論というよりもコード理論、ポピュラー和声と呼ぶ方が
もしかしたらニュアンスとしては適切なのかもしれません。

ただクラシックと違いポピュラーでは
ハーモニーをコードネームという記号に圧縮してシンプル化しています。

ハーモニーをコードに記号化するとどうなるか、
クラシックとポピュラーで使われる譜面と照らし合わせながら比較してみましょう。

まずクラシックで使われる譜面を見てみます。
air_a
これはバッハの名曲、G線上のアリアの最初の4小節を抜き出したものです。
エヴァンゲリオンなどでもおなじみの曲ですね。
この譜面を見てみると音符の一音一音が細かく指定されているのがよくわかるかと思います。
曲はこちらから聴いてみてください。
http://www.youtube.com/watch?v=thQWqRDZj7E

それに対してコードを使用した譜面を見てみましょう。
air_chord
曲はさっきと同じくG線上のアリアですが
キーをCにして原曲のイメージを崩さない程度にアレンジしてみました。

ポピュラー音楽ではこのようにメロディ+コードで譜面が完結していることが多いです。
思わずアレ?って拍子抜けしちゃった方もいるかもしれませんし
原曲の譜面は細かく音符が入り組んでいたのにこんなに簡単にしちゃって音楽なんて出来んの?
と思う方もいるかもしれませんので
おなじみのiReal bでこのコードを打ち込んだオケにメロディを重ねてみます。
iReal Pro(Mac App)
iReal Pro(iTunes)

まずはPOP/ROCK系のパターンにピアノを譜面通りに弾いてみました。

・POP/ROCK系パターン

スーパーの食品売り場とかにありそうでぶっちゃけ音的にはダサイですが
曲としては一応は成立しているのは体感出来ると思います。

では次、違うパターンってことでコードに関してはそのままで
ジャズ系のパターンを聴いてみましょう。
今度はiReal bのオケに私がギターを演奏してメロディもジャズっぽく崩してみました。
ただ私はギタリストではないので演奏力に関しては目をつぶってくれると幸いです(笑)。

・JAZZ系パターン

どうですか?
良い悪いは置いておいてこちらもPOP/ROCKのパターンと同じく
G線上のアリアらしきものは聴けますよね。

iReal bは自動演奏のソフトなのでちょっとベースラインなどに違和感はありますが、
このくらいは全然形になりますし、
今のを仮に人力でやる場合もメロディとコードという枠組みさえ守っていれば
様々なジャンルのアレンジがいちいち譜面を書き直す手間もなくその場で可能になります。
もちろん今回のようなPOP/ROCK、JAZZ以外のジャンルでも同じように再現することが可能です。

ただこれはiReal bだから出来るのではなくて多少コードを知っていれば誰にでもこのくらいは出来ます。
もちろんイケてるハーモニーを再現するのはそれなりの知識と技術は要求されますが
さっきの細かい譜面のフレーズをすっとばしても
Cと書いてあったらドミソさえ押さえておけば細かいこと考えなくてもとりあえずはOK、
というのがコードやポピュラー音楽の考え方だからです。
20091219201700

ですが本当にこれでいいんだろうか?という気もしなくもないですよね。

確かに一応は曲っぽくなりましたが
あれをG線上のアリアと言い切るのはちょっと無理があるし、
あまりにもインスタントすぎるというか、
おそらく作曲者であるバッハもさっきのオケを聴いたら怒り狂いそうな気がします(笑)。

ですので一度ここでコードのメリットとデメリット、両方をまとめてみます。
Music-Theory-Singing-Lessons-Vocal-Students
まずポピュラー音楽では最低限のコードの知識さえあれば
誰にでもある程度は楽曲を演奏、アレンジすることが可能である、
というのはたった今体感してもらいましたよね。

とにかく自由度の高さ、汎用性の高さがメリットです。

ちょっとした曲ならぶっちゃけ才能なんかなくても誰にでも出来ちゃうといってもいいと思います。
音楽の敷居を思いっきり下げたというところは評価に値するというか、
多分コードがなかったら世の中に出てこれなかったミュージシャンというのは決して少なくないはずです。

でもそんな便利なコードも決して良いことばかりではありません。
なぜなら良い意味でも悪い意味でも作曲者の意図と違ったものになってしまう可能性もあるからです。

例えばクラシックの譜面でも
プレイヤーの腕によって、必ずしも作曲者の望む形にならないこともありますが
良い悪いは置いておいて音符に関しては一応は再現できるはずです。

しかしポピュラーでは一応コードという大枠はありつつも
音符の細かい指定がない分、
プレイヤーやアレンジャーの技術やセンスに委ねられてしまうところがあるので
良い意味でも悪い意味でも曲が変わってしまうのがデメリットです。

例えばCというコードでもドミソだけでなく、
ドソミもドミソドも考えられますし
ミ抜き、ソ抜きのハーモニーも当然可能性として考えれます。
でもこれらを全部Cという同じコードとして同じグループに圧縮してしまうのは乱暴な気がしますし、
なにより作家の意図としたものとは違うイレギュラーが起きてしまう可能性は簡単に想像できますよね。

しかしそんなイレギュラーが逆に良い場合も考えられます。

仮にです、自分の好きなトッププロのプレイヤーがレコーディングに参加してくれたとします。
そんなチャンスに恵まれたのに譜面通りに弾いてもらうだけ、
というのはちょっともったいない気がしれませんか?

私の場合はギターやピアノを演奏しますが
作曲やアレンジのついでに弾くくらいで正直そんなに上手くありません。
そんな自分が考えた稚拙なピアノパートを本職のピアニストにそのまま弾かせたりしたら、
逆にプレイヤーや予算の無駄遣いのような気がします。

餅は餅屋ではありませんが、
どうせなら専門家ならではの解釈や発想で
楽曲に新しい風を入れてもらった方が楽曲の完成度が高くなるかもしれないし、
人によってはその方が楽曲が自分のイメージに近づく可能性が高いと思います。

例えば美容院にしろ、ライブのPAにしろ
逆に細かく注文を付けすぎると混乱やトラブルの原因になることがよくあります。
ですので信頼出来る人がいれば基本的におまかせする、というスタンスは決して間違いではありません。

ただ、インスタント性の高さ故に、音符の一音一音に無頓着になりがちです。

例えばギターを弾いてる人はコードをフォームやポジションで覚えてる人が多いと思います。
でもその押さえているコードの一音一音をちゃんと把握してるかと言われたら
ほとんどの人はしていないのではないでしょうか?
コードブックとかにあった押さえ方を覚えて、
ただリズムに合わせてストロークしているだけ、という人が大多数だと思います。

でもそのくらい音符に対して無頓着でも
コードさえ押さえておけば一応は曲の伴奏はインスタントに出来てしまう。

もちろんコードのインスタント性のおかげで誰もが気軽に音楽を楽しめるようになったというのは事実です。
ただその反面、音符の一音、一音の動きに対して無頓着になりがちな負の側面もある、
というのは自戒の念もこめて言っておきたいです。

あと個人的にクラシックとポピュラーの違いにおいて重要だと思う点は
クラシックの音楽理論は結局はヨーロッパの音楽の範疇に限定されるのに対して、
ポピュラー音楽理論はヨーロッパ的なものだけでなくて
+アメリカ的な要素が含まれているということです。

そもそも音楽をコードという記号に強引にシンプル化してしまう発想も
非常にアメリカっぽいと個人的には思います。
わかりやすいところではappleが特にそうですよね。
steve-jobs-apple-iphone
appleがとことんシンプル化を目指して開発した
MacやiPodやiPhoneなどが世界を席巻したのはご存知かと思いますが
ある意味それ以上にアメリカ的な要素がポピュラー音楽にはあるのです。

それがブルースです。
marty
では具体的に何が違うのか比較してみましょう。

・ヨーロッパ的な音階(Major Scale)
major_scale_a

まず上段のいわゆるヨーロッパ的な音階であるメジャースケールを
サブドミナントからトニックに
IVからIに解決した簡単な進行をピアノで弾いてみました。
キーがCならFからCいうメジャーなコードの進行に
Cメジャースケールというメジャーな音階を弾いただけの
極めてシンプルなものです。
まあ、よく聴くパターンって感じですね。

それに対してこちらのアメリカ的な音階も弾いてみます。

・アメリカ的な音階(Blues Scale)
blues_scale_a

さっきとコードは一緒ですがなにかが違いますよね。
コードに関してはさっきと同じFからCというメジャーなものを使っているのに対して、
スケールが実はマイナーなんです。
正確にいうとマイナーペンタトニックという
マイナーの5音階+ブルーノートと呼ばれるものを足した
ブルーススケールというスケールですが
コードがメジャーなのにスケールはマイナーなものを使うといった
クラシックの理論ではあり得ない組み合わせなのです。

ご存知の通りアメリカは黒人をアフリカから奴隷として連れてきた歴史があるわけですが
その黒人が白人と同じ楽器を使ってみたら違う音楽が出来てしまったところに
ブルースのユニーク性があるのかなと思います。

まさにイノベーションですね。

私自身の音楽の個人の好みとしてブルースはそれほど好きなわけではありませんが
音楽理論的、音楽史的には重要であることは認めざるを得ませんので
レッスンのカリキュラムにもあえて入れています。

実際ブルースのフィールはジャズやロックを始めとした
様々なジャンルに影響を与えて今日に至っていますし
さっきの音階を聴いて「これは新しい!」とか「聴いたことがない!」と思った人はあまりいないと思います。

それだけブルースが私たちの感性に浸透しているということだと思うので
クラシックの理論はマスターしたからポピュラーの理論なんて眼中にないですという人も
是非ポピュラー音楽の理論も学んでもらえたらなと思います。
間違いなく幅が広がると思いますので。

ここまで駆け足で軽くポピュラー音楽理論について語ってきましたが
一つ誤解して欲しくないことがあります。

それは音楽理論は絶対でないということです

抽象的な言い回しが多い音楽において、
音楽理論という共通言語があるとコミュニケーションがスムーズになるのは事実です。
特にコードという記号で楽曲をシンプルにまとめたのは大きな発明の一つだと思いますし
コードという共通言語がわかっていれば
初めて会った人通しでも、初めて聴く曲でもその場でセッションしたりということができます。
それが例え違う国の人通しだったとしてもです。
さらに技術があるとアドリブでソロを決めたりなんてこともできるようになります。
多分素人の人からみたら魔法みたいに感じるのではないでしょうか。

しかしジャンルや地域、現場、学校、書籍でも基準や解釈が違います。
cmaj7
例えばCメジャーセブンスというコードだけでも
Cに大文字のMのCMaj7もあれば小文字のmのCmaj7もありますし、
Cと大文字のMと7のCM7、C△やC△7などなど複数の書き方が存在します。
意味することはどれも同じですし、
わかってる人からすればなんてことない話ですが
この統一感のなさが初心者が学ぶ際の混乱の原因になっているような気が個人的にはしています。

あとは譜面の書き方もそうですね。
3ren
私の手書きの汚い譜面で申し訳ないんですが
上と下では音楽的に意味するところは同じです。

しかし昔、作曲を習っていた頃、師匠に下の書き方に直されました。
なぜだかわかりますか?

これは理論というよりも現場論的な考え方になってしまうんですが
上のだとですね、
3連符に間違えてしまう可能性があるからです。

もちろんプロの人でも上の書き方する人はいますし
事実巷のスコアでも上のような書き方のものは多数存在しています。

だからどっちが合ってる、合ってないの話ではなくて
自分はどう思うかといったその人独自の考え方や
どう書いたらプレイヤーが読みやすいかといった気遣いの話になってくるんですね。
ここまでくると。

もしかしたら今回のコラムやyoutubeで公開している動画でも
人によっては
「これは違くね?」
「自分の習った先生や持ってる本と言ってることが違う」
という箇所もおそらくあるかと思います。

自分としては世の中で言われている音楽理論からそんなに外れてはいないつもりではいますが
突っ込もうと思えばいくらでも突っ込む余地があると自分でも思ってますし
人によって見解がわかれるのは当然かなとは思います。

つまり結局のところ、
音楽には音楽やミュージシャンの数だけ答えがあり、
その全てを理論で解明、共有、統一することは不可能ということです。
逃げっぽい台詞で申し訳ないんですけども。

じゃあ理論なんて勉強するだけ無駄じゃないか、と思う人もいるかもしれませんが、
その一方で、案外理論でパターン化されていることが多いのも事実です。

つまり再現性がある科学的な側面も音楽にはあるということです。
threenotechords
正直なところ大衆音楽はパターンばかりと言ってもおおげさではないと思います。
むしろパターンが各ジャンルを特徴付けている要素だったりもしますし
例えば少年ジャンプの漫画やハリウッドの映画を楽しむのと同じように
リスナーの人もパターンを嫌がるどころかむしろ楽しんでいる気さえします。
(もちろんあからさまなパターンは嫌がられますが)

そのパターンを自分なりに研究、分析していくと、
新しいアイデアやヒント、自身の音楽性の幅が広がるきっかけになる可能性はありますよね。

特に職業音楽家、
例えば作家とかスタジオミュージシャンとかになりたい人は
パターンや理論は知ってるだけ知っておいて損はないし、
逆に全く知らないと仕事にならないのが現実です。

例えば●●っぽいパターンと言われてすぐにその場で対応出来るようじゃなきゃダメです。
私もパターンをもっと知らなきゃな〜ってことで今でも勉強や研究をしてます。

ですが理論や科学は必ずしも万能とは限りません。

要は風邪薬みたいなもので風邪の症状って薬でいくらかは抑えられるけど完治はしませんよね。
仮に熱が一日で下がったとしても、
身体の調子が完全に戻るまでにはどうしてもある程度は自然治癒力に頼ってしまうし、
逆に風邪薬で症状が悪化してしまうケースも稀に耳にします。

つまりマクロの部分はある程度はカバーできてもミクロの部分まではカバーできないというか
痒いところには手の届かない面が出てきてしまうのが
理論や科学の限界というか宿命みたいなものなのでこればかりは仕方がないのです。
教えている身でこんなことはあまり言いたくありませんが
理論に対してある程度は割り切って付き合ってます。
確かに便利ではあるし、武器にもなりますが絶対視はしていないということです。

ですので最後にまとめると、

・理論に絶対的な答えを求めるよりも理論を元に自分なりの答えを音楽に反映させる方がいい(と思う)、
・一種のリテラシーを持って音楽理論と接するのがベストな付き合い方(だと思う)、

と個人的には考えています。

ここであえて思うとカッコ付けしてるのは
ここまで書いたことはあくまで私の考えや答えであり、
それを絶対視したり、鵜呑みにしてもらいたくないからです。

もちろん型が出来ていない初期の段階では、
そんなことを意識してるような余裕なんてないのが本音だと思います。
「学ぶ」という文字は「真似ぶ」から来ていると言われているように
無駄な創意工夫が自分の成長を遠回りさせてしまうことはよくある話ですので
最初のうちはとにかく「型」の習得に集中することが実は近道であることは私も同意します。

しかしある程度学び終えたときに
習っていた先生とは違う自分独自の答えや視点や型を持つ、
ということは忘れないでもらいたいですし、
レッスンをしているレッスン生にもそれは伝えるようにしています。

そうでなければ習った先生や読んだ本などをコピーしただけにしか過ぎませんし、
そんなマニュアル人間になるために音楽をやっているわけではありませんよね?

そのためには様々なミュージシャンや本などから多くの考えに触れておいて損はありません。

私は理論書などを読むのが好きでよく買っていますが
だいたい市販で売ってる物はもう知ってる内容なことがほとんどです。
でもなぜわざわざお金出してまで既に知っていることが書いてある本を買っているのかというと
同じ答えでも答えの導き方が著者によって違うからです

自分とは違う見解や解釈を持っている人の視点を知ることによって
音楽の新しい側面が見えてくるのが面白いので
答えよりも違う切り口が知りたい気持ちの方が大きいかもしれません。

音楽理論というとどうしても数学の公式だったり、
受験の暗記もの的に一種のテンプレートと捉えてる人が多いですし、
そんな面もあるのは否定はしませんが
個人的にはむしろ哲学に近いと考えています。

ですのでレッスンにしろ本にしろ一つの答えだけを絶対視するのではなくて
色んな側面から見えるようになるとより音楽と楽しく付き合えるのではないでしょうか。