どうも、kohtaroです。
今回はおすすめのポピュラーやジャズの音楽理論の本を紹介します。
世の中にはたくさんの音楽理論関係の本がありますが、クラシックと違いポピュラーやジャズの理論書に関しては玉石混合という感じで、正直なところ日本で流通しているものに関してはそのほとんどが微妙、というのが個人的な所感です。
インターネットのおかげで情報社会となり気軽に情報収集が可能になった反面、たくさんの石から玉の情報を見つけるのはなかなか大変な時代になりました。
ただその中でもここのページで紹介しているものは、全て実際に所有している本で、さらに言うとうちのレッスンでも実際にメソッド作りの参考や参考図書にしているくらいなので、内容に関しては信用してもらって大丈夫かと思います。
仮にここに紹介している本を全部入手して勉強して全く身にならないようでしたらおそらく独学は無理です。僕のレッスンじゃなくてもいいので習ってください。なぜならこういった音楽理論関係の本は読み手にある程度のリテラシーを要求するからです。
しかもそれが知識だけではなくて楽器の経験やこれまでどれだけの音楽を聴いてきたか、そしてある程度の耳の良さも前提条件になります。
ですので一般の勉強と同じノリで作曲や音楽理論を学ぼうと思っても上手くいかないのは当然の話で、このあたりが独学での学習が困難な理由でもあります。
なのでまずは音楽の勉強ならではのリテラシーを身につける必要がある。
でもその音楽的なリテラシーが身についた上で読んでみると、こんなに楽しい世界はないと言っても大げさではないくらい新たな地平が広がります。
なのでここにある本を読んだからといって確実に音楽理論が習得できますよ、とは保証はできませんが持っておいて損はないと思いますし、うちのレッスンの生徒さんの副教材であったり、卒業した生徒さんや他のレッスンや学校で学んだ方の復習にはうってつけだと思いますので、最後までご覧いただけると幸いです。
割と新しめのバークリーの音楽理論の教科書です。
ジャズ理論の基本に関してはおそらくこれが一番よくまとまっていると思います。
仮にポピュラーやジャズを勉強したい方からオススメを一冊だけ選んでくれと言われたら、これをファーストチョイスにするかもしれません。
内容もわかりやすいし、譜例であったり、音源(本書に記載のアドレスからダウンロード可能)が音楽的なのもポイント高いです。情報としては正しくてもそこが微妙な本の方がむしろ多いですからね。
それとたまに自分はジャズマンを目指してるわけではないので、ジャズ理論を勉強するのはちょっと…と相談されることがあります。
ただポピュラー音楽理論とジャズ理論、あとコード理論なんて呼ばれることもありますが、それらは実際のところほとんどニアリーイコールと思ってもらってOKです。
というのもポピュラー音楽で広く使われているコードネームはそもそもジャズのシーンから生まれたものですし、それを教育機関として世界で最初にメソッド化したのがアメリカにあるバークリー音楽院(現在は大学)と言われています。
ジャズに限らず様々なジャンルの世界的なミュージシャンを多く輩出していることでも有名ですね。
そこでのメソッド、特に音楽理論関係をバークリーメソッドと世間では呼んだりしています。もちろん世の中にはバークリー以外の学校もあるわけですが、ポピュラーやジャズの理論に関してはバークリーメソッドが一つの基準になっているのは間違いないでしょう。
なので日本で売ってるポピュラー音楽理論の本は、基本的にバークリーメソッドを水で薄めているようなものがほとんどで、仮にそれがロック理論と銘打っていたとしても、実質内容的にはバークリーメソッドの範疇にあると思ってもらって差し支えありません。
それなら源流から抑えるのが近道、というわけでポピュラーやジャズの理論関係はバークリーメソッドを基準にしておけば、ジャズはもちろんのこと大抵のポピュラー音楽に対応可能となるので、ジャズ以外の音楽を志向する方も勉強しておいて損はありません。
特にここ最近耳にするお洒落なコード進行はいかにもバークリー的だなぁと感じます。
ちなみに僕にポピュラー音楽やジャズの理論を教えてくれた師匠がバークリー出身なので、当然僕もバークリーメソッドを通ってます。
家系ラーメンで例えるとバークリーが吉村家だとすると師匠がその直系店、僕はその直系店で修行して今は自分の店を出してるみたいな感じです(笑)。
ここだけの話、一時期バークリーに留学も目指してましたが、留学前に全部マスターしてしまったこと(師匠曰くこれまで教えてきた中で最速だったらしいです)、日本で一応仕事できるようになったこと、同時期に親が倒れたことなどが重なり最終的には日本に残る道を選びましたが、バークリーメソッドに関しては人並み以上には勉強してきたつもりですし、レッスンのメソッドのベースにもなっています。
ただこの本に関しては自分が師匠から習ってきた頃から細かくアップデートされていると感じました。ちなみに師匠は90年代にバークリーで学んだようなのですがこの本が出版されたのは2010年代。
もちろん基本は同じではあるのですが特にスケールの解釈のところでそれを感じました。
それが著者の見解なのか、今のバークリー全体の方向性なのかはわかりませんが、それをどの程度自分のレッスンに反映すべきか精査してる最中です。
例えばmixolydian(♭9,♯9,♭13)というスケール名は初めて見る方が多いのではないでしょうか。
まあ、従来の言い方だとspanish phrygian(フリジアンのE♭とFの間に経過音のEのナチュラルがあると解釈するとわかりやすいかもです)なわけなので単に呼び名が変わっただけとも言えるわけですが。
でも確かにアドリブする側からするとmixoの♭9,♯9,♭13って覚える方が楽といえば楽な気がします。と、思う一方でまだ日本では一般的ではない呼び名を使うのもな〜というところで悩んでいます。
残念ながら日本語化されてないので洋書でしか手に入らないのが難点ですが、平易な英語ですし五線譜が中心なので意外と読めると思います。
購入も普通にAmazonとかでも可能ですし、個人的な肌感だと高校レベルの英語がちょっとできれば問題ないかなと思います。
むしろ変な日本語の本で勉強するよりいっそのことこの本で英語で勉強してしまった方が逆にわかりやすいかもしれません。
ただ楽譜の読み書きであったり、インターバルなどの本当の初歩の初歩は省略されて早い段階から実戦的な内容に入るので、これからゼロから勉強する人にとっては後述する2冊の方からスタートした方がいいかもしれません。
チャプター3でもうsubV(裏コード)であったりそこで使うスケール扱いますからね。
ただある程度の音楽的なリテラシーがあったり、既に勉強した人にとってはオススメです。
もし本当にこれからポピュラーやジャズの音楽理論を勉強するガチの初心者ならこちらをオススメします。
こちらも内容的にはバークリーメソッドではあるのですがとにかくわかりやすいです。
対話形式の分かりやすい日本語で書かれているのでさすがにサルでも分かるとまでは言いませんが、バークリーメソッドをここまでわかりやすく書いてある本はおそらく他にないのではないでしょうか。
ちなみに著者の方はバークリー出身で年齢的におそらく師匠とほぼ同じ時期に学んでいたと思うので、
細かい用語などに差異がないのも個人的にはありがたいですね。
タイトルに反してと言っては失礼かもしれませんが、バークリーメソッドを日本語化したものでわかりやすさ重視ならこれが一番マトモだと思います。
上巻は本当に初歩の初歩(例えばコード進行って何?)から、下巻ではモーダルハーモニーまで言及してるので意外とバカにできません。
ただわかりやすさを重視したあまりに細かいところまで言及しきれてない点、五線譜が全体的に少なめだったり、具体的なケーススタディが足りないのは否めないです。
なのでこの本だけで完全マスターというのは現実的には難しいかと思いますが、勉強してある程度のレベルになったらThe Berklee Book of Jazz Harmonyはもちろんのこと、後述のケーススタディ用の他の本でそのあたりは補完可能かと思いますし、ルートとしてもスムーズかなと思います。
何より細かいところよりもざっくりとした知識を確認したいという用途ならピッタリです。
おそらく現在絶版だと思いますので新品では手に入らないのが残念ですが、もし安く手に入りそうでしたら是非購入してみてください。
それとバークリーメソッドの日本語の本ならこちらも有名ですが、内容的には全部理解してるはずなのになぜか日本語があまり頭に入ってこないんですよね。
単に僕の頭の問題のせいかもしれませんが。ただ情報として間違ってるわけではないので一応紹介しておきます。人によってはこちらの方が読みやすいという人もいるかもしれません。
上記2冊を補完できる日本語の本ということでこの本を選びました。
例えば音符の玉と棒の棒の名前は何?とか、その棒が五線譜で上下に切り替わるタイミングはどこからか、自信を持って答えられるでしょうか。
案外このあたりは特に勉強し始めの頃は抜け落ちてしまいがちです。
ですので音楽理論というよりも、その手前に必要な楽譜の読み書きを始めとした最低限の知識をこの本が担当します。
わかりやすい平易な日本語で書かれているし、各トピックごとにわかりやすく整理されてるので、「あれなんだっけ?」と思った時にすぐに必要なページにアクセスできるのが便利ですし、ポピュラー音楽関係の本では後回しにされがちな、アーティキュレーションやクラシックの楽語までカバーしているのも何気に重宝します。
ちなみに著者の小谷野謙一先生はクラシック出身(なんと東京藝大の作曲科出身!)ですが、ポピュラー音楽の現場で仕事をしてきた方でもあるのでポピュラー系の方が読んでも内容的に問題ありませんし、逆にクラシック出身の方でちょっとポピュラー音楽もやってみたいという方にはその導入としても良いかと思います。
さらに付け加えると僕の何人かいるクラシックの作曲関係の師匠の一人だったりします。
(なのでさっきのバークリー卒の師匠はまた別の方です)
と、書くと関係者だから忖度してるんだと思われるかもしれませんが、そんなの抜きに心からオススメできる本です。
それとクラシックスタイルではありますが、小谷野先生のYoutubeチャンネルに自作の和声課題を公開されていますので是非聴いてみください。
クラシックの知識がなくても音楽的な美しさは体感できるかと思います。
それとここだけの話、僕は小谷野先生の和声課題のほとんどをやり通した数少ない人間だったりします。課題によってはどこの日本の芸大音大の入試より全然難しいものもあるので(正直何度も死にかけました…)よければチャレンジしてみてください。
https://www.youtube.com/channel/UCO1NHxJHIWwRFjc9-mZYlog
というわけで、まず上記の3冊が最初に勉強していく上でいいと思うのと同時に、音楽的なリテラシーが身に付くまでは他の本は買わなくていいと思います。
まずはこの3冊の内容をマスターする。
ただこれから先もこの3冊だけでいいのかと問われると正直足りない。
音楽理論を自分の作曲や演奏にどう活かすのかと具体的なケーススタディとなるものがもう少し欲しいので、ここからは+αのケーススタディとなる本をいくつか紹介します。
こちらもバークリーの教科書なのですがATNという出版社から日本語翻訳されていますので安心です。
先に紹介した3冊をある程度習得後に次にしたいことはコードネームをいかに五線譜に反映させるか、という段階です。
と言うのも同じCというコード一つ取ってみても、ドミソなのか、ドソミドなのか、それともドファ#シミラレなのか様々な可能性があるわけで、同じCでも和音の積み重ね方で一つで響きが変わってきます。
和音をどのように積み重ねていくのか、その技術をヴォイシングと言います。
この本はタイトル通りジャズにおけるボイシングに特化した本で、ベーシックなヴォイシングの作り方から4thヴォイシングやクラスターヴォイシング、アッパーストラクチャートライアドなどジャズならではのヴォイシングまでカバーしていますので、ジャズのアレンジ、特にビッグバンドのアレンジをしたい方にはうってつけだと思いますし、ジャズ以外のアレンジでもコードネームをいかに五線譜に反映させるのか、という用途にもぴったりだと思います。
あとコードスケールの一覧表があるのが何気に便利です。付属CDの内容も音楽的なので参考になります。
よりビッグバンドに特化したり大きい編成を書いてみたい方はバークリー式 ビッグバンドアレンジ入門に進んでもいいかもしれません。(昔はラージジャズアンサンブルのアレンジというタイトルでした)
ちなみにATNはジャズを中心とした教則本や楽譜の出版、販売を行っている出版社で、海外の音楽理論の本や教則本も多く翻訳しています。
日本語で手に入るポピュラーやジャズの本なら個人的にはここが一番しっかりしてると思っています。
下記のコンテンポラリーアレンジャーもATNから日本語翻訳されています。
大物アレンジャーのドンセベスキーによるアレンジの教則本でアレンジ本のベストセラーだと思います。
実際にこの本で勉強したアレンジャーの方多いと思いますし、特に冨田恵一(冨田ラボ)氏がこの本で勉強したことを公言しているのは有名だと思います。なので冨田ラボ的なアレンジ、特に弦とか管を含む編成を書いてみたい人にはもうドンピシャだと思います。
譜例も豊富ですし付属CDもあります。
が、全部の譜例がCDに入ってるわけではなく、譜例も誰の何の曲なのかクレジットされてないものが多いので、ちょっとこのあたりは不親切だな〜と感じますが、そこはアレンジの勉強ってことで打ち込んでみると案外勉強になるので、その素材と割り切って考えてみると悪くないかもしれません。
あとこの本がユニークなのはポピュラー音楽の現場で機能する楽器の使い方にフォーカスしている点です。
クラシックにも管弦楽法(オーケストレーション)という分野がありますが、それがそのままポピュラー音楽のアレンジにスライドできるかと言われると必ずしもそうとは限らない。
むしろクラシックでは一般的な編成がポピュラー音楽の現場でそのまんま使えることの方が少ないと思いますし、多くの場合バンドや打ち込みがある前提での弦や管のアレンジとなることが多いので、このあたりが特にクラシック出身の人がポピュラー音楽のアレンジをする際の悩みの種になると思います。
なので仮に弦のプレイヤーを9人集められるとすれば、ヴィオラを省いたヴァイオリン7本、チェロ2本という編成を本書では勧めているのですがこれが意外と良い。
実際にその編成の譜例を打ち込んでみたので是非聴いてみてください。
本当に冨田ラボとかのアレンジにありそうな感じですよね。
それとオーケストラ楽器の音域や特性も現場的な視点から色々書いてあるので、ポピュラー音楽にちょっとストリングス入れてみたいな〜みたいな人は、クラシックの管弦楽法みたいな本よりもこちらから先に手を出してみるといいと思います。
ただDAWであったり、打ち込みが今のように一般化する前の時代の本なので、昨今のアレンジ事情を考えると色んな意味でギャップがあるのは否めないと思います。
ですので令和版のコンテンポラリーアレンジャーのような本が出るといいですね。
日本語訳がないのが残念ですが個人的にモーダル関係はこの本が自分が知る限り一番本質的だと思います。
一応バークリーメソッドでもモーダルは扱ってはいますが、それで全てをカバーできるかと問われれば正直足りない。
もちろんチャートにあるような音楽であれば十分に対応可能なわけですが、例えばコンテンポラリーなジャズであったり、一部の映画音楽には明らかにバークリー的ではない響きが聴こえてくるわけです。
その正体は何なんだろうと思っていた頃に出会ったのが僕にモーダルの理論を教えてくれた先生です。
その先生も元々はバークリーで学んでいたようなのですが、まさに僕と同じ疑問にぶち当たり、そんな中この本と出会い衝撃を受け、著者のロンミラーが教えていたマイアミ大学の音楽学部に進学し弟子となったようです。
マイアミ大学の音楽学部も著名なミュージシャンを多く輩出しており、マリアシュナイダーもここで学んでいた時期があったらしいですね。
その影響かわかりませんがマリアシュナイダーの音楽もこの本のメソッドが反映されてるところが多々あると感じます。
それと余談ですが以前マリアシュナイダーのコンサートに行った時のことを旧ブログに書きましたのでよければご覧ください。
終演後に楽譜にサインしてもらったのはちょっとした自慢です。
この本のユニークなところはコードトーンとテンションといったいかにもバークリー的な考え方でなく、プライオリティテーブルという概念でハーモニーを捉えている点です。
プライオリティテーブルとは何かというとそのモードを表現する上で、優先順位の高い音から低い音を表にしたものと思ってください。
要は特性音のことでバークリーメソッドではキャラクタスティリックノートと呼ばれますが、一般論としては特性音は一つと思われがちです。
ただこの本の面白いのは例えばミクソリディアンなら特性音と呼ばれている♭7だけではなくて、そのモードのキャラクターを表現する上で影響力の強い順番(プライオリティ)があるというわけです。
その順番に関しては是非この本を購入して確認してみてもらいたいのですが、例えばそのプライオリティテーブルでE♭のミクソリディアンのヴォイシング作ってみるとこんなのが出来ます。
これをコードネームで書くとE♭7(11)。
多少、勉強した人ならわかるかもしれませんが、これってバークリー的にはバツがつく可能性が高いコードです。なぜならA♭が11thということでE♭7ではアヴォイドノートになってしまうからです。
sus4なんかも3と4(11)の同居はできないと普通は教えられると思います。
でもなぜこれアリなのかというとまずA♭とGが♭9を形成してないので、そもそもアヴォイド的な響きがしない。
もし弾ける人は鍵盤で音を出して欲しいのですがむしろカッコいい響きがする。
それと例のプライオリティテーブルによるとミクソリディアンを形成する上で♭7と4と3が重要で、むしろこの3つがないとミクソリディアンの響きとして弱いくらいです。
なので調性の世界ではNGだったものもモーダルであったり、この本ではアリになる。
もう一つ例を紹介しましょう。こちらはCのエオリアンのモーダルコードです。
CのエオリアンというとコードネームにするとCmもしくはCm7。
でもヴォイシングにはCmを形成する上で大事な短3度の音であるE♭がありません。
バークリーメソッドに限らずコードトーンの3度はコードの明るさと暗さを決定づける大事な音と言われています。
でもこのヴォイシングを弾いてみるとわかりますが誰がどう聴いてもダークな響きがする。
短3度が存在しないのに不思議ですね。
実はこの本のプライオリティテーブルによるとエオリアンを表現する上で実は3度の優先順位はそれほど高くない。
むしろA♭というエオリアンではアヴォイド扱いされてる音の方を積極的に入れたい。ここが短調とエオリアンの違いの一つでもあります。
さらにもう一例紹介します。
こちらはマリアシュナイダーのCERULEAN SKIESのピアノパートの一部ですが、仮にこれをコードネーム化するとなんと呼ぶかわかりますか?
Aのなんとかとなるであろうというのはわかるかと思いますが、仮にAがルートであるなら3度や7度が普通は必要ですよね。
3度がないとAのメジャーなのかメイナーなのかそもそもわからないし、7度もないと4和音にした時にどんなコードになるかわかりません。
でも音楽的には成立している。むしろ美しい。是非音源聴いてみてください。
一応答えを言うとこれはリディアンのモーダルコードです。
でもリディアンというとローマ数字だとIVMaj、つまりAMaj7のコードになるわけですが、3度や7度が省かれているのでコードネームとしては辻褄が合っていない。
なんですがリディアンを表現する上で最もプライオリティの高い♯11の音が中心的にあるので、実はリディアンとしては破綻してないんです。
むしろモーダルの世界でコードネームであったり、そこでのお約束が逆に窮屈になるところがあって、実際このリディアンもコードネームで書こうとすると、AMaj7(♯11)omit 3&7となるのでちょっと面倒ですよね。
このあたりが僕であったり、この理論を教えてくれた先生がバークリーメソッドでは足りないと思っていたものの一つです。
調性の世界ではNGだったものもモーダルではアリになる。
なのでこのモーダルの勉強をしていた頃は本当に新しい扉が開いた感じがして楽しかったですね。俺が求めていたのはこれなんだ!と思いました。
モーダルの世界は正直トーナル(調性音楽)ほどメソッドが固まりきってないので、まだまだ感覚やセンス頼みになっているのが現状だと思います。
要は音楽としてはこういうものは普通に存在しているのに理論がまだそこに追いついていないんですね。
この本も正直きっちりとした理論書というよりも著者のロンミラーの考え方、という方が正確なのかもしれませんが、先にも書いたように自分がこれまで読んできた中ではこの本がモーダルに関しては今のところ一番本質的だと思います。
なのでモーダルをより研究してこれだ!という理論を確立出来たら、いつか本を書いてみたいな〜というのが個人的な夢の一つだったりします。
ですので初心者が買って良い本ではありませんがさらに上を目指す方には是非この本を手に取ってみてください。
プロの人が買っても勉強になると思います。
用語はバークリーであったり世の中で言われてるものとは違う独自なものが多いので、最初は戸惑うかもしれませんが(例:キャラクタスティリックノートがこの本ではカラートーンと呼ばれている)慣れれば問題ないかと思います。
英語自体もそれほど難しくないのですが、最低でもバークリーメソッドの内容はマスターしていることが前提条件になるかと思います。
それと以前、オンラインレッスンのサンプル動画をアップしたのですが、そこにも実はこの本を使ったレッスンを一部公開していますのでよろしければご覧ください。
大体4分28秒あたり〜です。
ちなみにこちらの本は明らかに本書の影響を受けています。
日本語で、しかもクラブミュージックにモーダルを取り入れるという点ではユニークですが、この本だけだとモーダルの勉強にはちょっと足りない。
ただModal Jazz Composition & Harmonyのケーススタディや副読本の一つと捉えると悪くないと思います。
日本語のジャズのアナライズの作法ならこの本がわかりやすいと思います。
ジャズで一般的なスタンダード曲20曲弱をアナライズをしています。おそらくこの本でアナライズの作法を学ぶとジャズ以外のポピュラー音楽にも対応できると思います。
メロディやコード進行はもちろんのこと、モチーフの展開の仕方、転調している曲なら転調前のキーと転調後のキーの関係性などなど、かなり詳しく解説してくれているので非常に参考になります。
例えば酒バラや枯葉などはジャズのビギナーにもお馴染みの曲ではありますが、仮に見た目上は演奏やアドリブできたとしても、果たして本当に楽曲を理論的に理解できている人がどれほどいるか正直眉唾物です。
個人的にも理解してるつもりの曲にこういう解釈もありなのか、と思ったことが多々あったので、足元を見直したい方にもオススメします。
一応簡単な音楽理論の解説もありますが内容的にある程度の知識があること前提となっているので、ここから勉強をゼロからスタートする人にはちょっと難しいですが、ある程度勉強した人にとっては問題ないかと思います。
タイトル通りガチのジャズピアノの本ではないのですが、ピアノの経験はない、もしくはクラシックピアノしか弾いたことしかない方で、勉強した音楽理論を実際にどのように鍵盤での演奏に反映させるのかという段階にある人にはこの本がオススメです。
どのようにすればジャズっぽくなるのか、コードだけではなくメロディやリズムからもアプローチしていますので、理論の実践としてもいいですし、ジャズのビギナーもしくは本格的にジャズを演奏するつもりはないけどちょっとジャズを齧ってみたい方にもオススメです。
付属CDもありますしテクニック的にも右手でメロディ、左手でコードを同時に弾くことはなんとかできる、というレベルなら十分対応可能だと思います。
本当に簡単なレベルから最後はルパン三世のテーマのジャズアレンジもあって、こちらはストリートピアノで弾いたら映えそうな感じがしますのでピアノのアレンジの参考としてもいいと思います。
もちろん作曲しか自分は興味はないので演奏はしたくない、という方もいるかと思いますが(正直僕もそのタイプです)、ただ演奏を通して学んだ理論が身体や耳に入ってきますし、それに仮に鍵盤メインの人ではなくてもこの本くらいのキーボードテクニックはあった方が作曲する際は便利だと思います。
こちらはギタリスト、特にロック系向けの本です。
音楽理論はある程度学んだ、理屈的にはある程度わかるし作曲も一応はできる。
でもそれをギターの指板上であったり、ギターならではの奏法やギターらしいアレンジに、どのように反映させたらいいのかわからない方にはこの本がオススメです。
良くも悪くも音楽理論は鍵盤を中心にしてるところがあるので、鍵盤以外の楽器の人は苦労する傾向にあります。
ただ鍵盤上での理解を無視していきなりギターで勉強しようとしてもほとんどの人はうまくいかないでしょう。
ですので理論は鍵盤で学ぶ、その後に自分の楽器に学んだ理論をいかに反映させるかが、基本ルートになるわけですが、その橋渡しとしての用途にはこの本はぴったりだと思います。
特にギターは鍵盤と全く構造が違いますし、それがロックとなると鍵盤的な思考だとそもそもなかなかロックっぽくならない。
本書はスタイル的にロックギターに特化していて譜例もビートルズのようなクラシックロックからKORNのようなエクストリームなパターンまでと幅広いので、学んだ理論がギターの指板上ではどうなっているのか確認をしつつ、さらにロックっぽい感覚も弾きながら学べるので一石二鳥。
バンドマンはもちろんのこと、ギターは弾かないけど打ち込みはするという方も参考になると思います。
結構古い本なので付属CDのギターであったりオケの音色は古いですがそこはご愛嬌。
一方で理論的な解説はちょっとこれだけでは個人的には心許ないな〜と感じるので、この本だけだと単なるギターの練習で終わってしまう可能性が高いのがリスクです。
そういう自分も20歳前後にこの本を購入しましたが、演奏はできても正直理論的な理解は当時はできませんでした。ただ師匠の元で勉強し直した後にこの本に取り掛かったら目から鱗でしたね。
ですのである程度音楽理論を勉強してから手に取ることをオススメします。
ただ残念ながら絶版になっているので新品で手に入れるのは難しいかと思います。
Amazonのマーケットプレイスで購入は可能ですが、時期によって異常にプレミアがつくこともあるので、安くなったタイミングを見つけたらまだ勉強中であってもとりあえず買っておくといいと思います。
巷では赤本と呼ばれてる歌本集です。
日本のヒット曲のメロディとコードのリードシート形式で、上巻が昭和の歌謡曲や演歌が中心で、下巻が80年代後半~現在までのJ-POP(演歌も結構あり)と幅広く網羅しています。
ですのでセッションはもちろんのこと学んだ音楽理論が、日本のヒット曲の中でどのように使われているかのケーススタディ集として個人的にも重宝しています。
正直音楽的には興味がなかった曲も楽譜で見てみると意外な発見があったりするので、このあたりは勉強した人間ならではの音楽の楽しみ方だと思います。
ただ誤植がちょこちょこあったり、コードの解釈もクエスチョンマークがつくところもあるので、そこはある程度割り切って使う必要があります。
本書以外にもこの手の本はたくさん出版されているので一冊持っておくと何かと便利だと思います。
サックス奏者の菊地成孔さんと音楽評論家の大谷能生さんが行った音楽理論の講義を元にした本です。
既に勉強した方なら復習であったり、こういう切り口や解釈もあったのかという参考になると思いますが、正直なところこれ一冊で音楽理論の勉強ができるかと言われるとご本人たちも語っているように足りないです。
ただし音楽的な教養やポピュラー音楽の歴史などの豆知識を増やす本としては最高に面白いと思います。
ジャズを中心としていますがロック、ブルース、クラブミュージック、クラシック、現代音楽などなど
幅広いジャンルまで話題が及んでいるので音楽的な知的好奇心が刺激されますし、特に菊地さんは難しい概念を日常語に翻訳するのが天才的なので、単純に文章としても読んでいて楽しいと思います。
音源も多数紹介しているので特にジャズを聴いてみたいけど何から聴けばいいのかわからない、という人にもぴったりです。
それに音楽理論の本は世の中にたくさんありますが、バークリーメソッドのそもそもの成り立ちを語っている本は日本語ではあまりないかなと思います。
ちなみにタイトルの憂鬱はブルースで官能はジャズのことを表しているようです。その二つを学校を教えた学校、つまりバークリーってことです。
それと菊地さんと大谷さんのタッグで東京大学のアルバート・アイラーという本も出していますがこちらも面白いです。
と、いった感じでしょうか。
もちろん世の中にはさらに多くの本がありますが、まずはここで紹介した本から手を出していくといいと思いますし、今後もしこれだ!という本が見つかったらこのページに追加するか、第二弾を書こうかと思いますのでお楽しみに。
ただ個人的には理論の本に関してはクラシックを別とすると、ここで紹介したものである程度事足りると思うのでそれよりも楽譜を集めて欲しいですね。
なぜなら音楽家にとって楽譜に勝る教材はこの世にないからです。
なので自分の好きなアーティストのバンドスコアを購入してそれを研究したり、打ち込んでみるのもいい勉強になります。
もちろん耳コピもいいですがただ音を取るだけではなく、一度楽譜にしてみると正直面倒ではありますが理解がより深まります。
ただ楽譜に書かれている真意を汲み取るためにはここまでに何度も出てきたキーワードですが、音楽的なリテラシーがないとそもそもアクセスが難しいのは事実。
でも音楽理論の勉強を通してそのアクセスキーを手に入ることができる、むしろそのために音楽理論の勉強の意味や意義があるのではないかと最近になって実感しています。
ここで紹介した本はその助けになってくれるはずです。
もし自力では難しいと思ったらいつでもレッスンへどうぞ。
ここまでかなりの長文だったかと思いますが、お読みいただきありがとうございました。