藝大に一年通ってみて

藝大

どうも、kohtaroです。

藝大に通うようになり早くも一年が経とうとしています。なんとか進級も出来たのでこのタイミングで一年通ってみた感想など書いてみようと思います。

まず最初に思ったのは藝大生、意外と忙しいということです。自分の場合は教職を取ってないので時間割的には割とスカスカな方だと思いますが、それでも常に何かしらの課題や練習に追われてるので結構忙しいです。多分一般的な大学生というのは学業よりもバイトやサークルなどに一生懸命なのが普通だと思いますが、藝大ではこの手のタイプはあまり見たことがありません。

特に作曲科は空き時間のおしゃべりの中でもみんな常に何かしら書いてるという印象です。これは意識が高い人が多いというよりもその時間も書いてないと単純に間に合わないんですね。

プラス自分の場合、仕事しながら通っているのでスケジュールの管理が案外大変です。大学から帰ったらすぐに今度は自分が教える方のレッスンでそれが終わったら課題の方を進めて気づいたらもう寝る時間の繰り返し。

なので結論、受験時代とあまり変わらない生活です。

むしろ受験時代よりも決まった時間に拘束されるので可処分時間は減ったかもしれません。受験時代は時間がなくて電車の中で対位法書いたりとかしていたのですがまさか大学入ってからも同じようなことをしてるのは夢にも思いませんでした(笑)。

受験時代は少なくとも最低半年は禁酒しながら勉強する生活を何年も送っていたので、藝大受かったら大学帰りにアメ横や上野公園のフェスで飲んだくれるのを夢見ていたのですが、結局片手で数えるくらいしか実現できていませんし、実際大学がある期間は週一くらいしか晩酌する余裕がありませんでした。

こんなフェスが上野公園では毎週のようにあります。

それくらいならまだしも美術館とかいつでも行ける環境にあるのに結局ほとんど行かなかったし、演奏会なんかももっと観れたなと思います。学業や仕事優先とはいえ非常にもったいないことしたと思っています。

大学入ったらストップしていた音楽活動や制作の仕事も再開して、滞ってるYoutubeの動画も更新して、受験きっかけで辞めたギターも再開して、Trapのビートを作って〜などなど色々画策していたのですが結局後回しになっているのが現状です。

とはいっても完全に時間がないのかという決してそういうわけではなくて夏休みや春休みはかなり長いのでその間を利用すればいくつかは全然出来たと思います。その期間を有効活用せず反動で酒ばかり飲んでいたのはただただ反省するばかりです。なので二年次こそはこのあたりを進めたいと思っています。

大学に入ってから色々な出来事があったわけですがまず最初に驚いたのがソルフェージュの授業です。前期に割り振られたソルフェージュのクラスは10クラスあるうちの上から4番目。実はこれって作曲科の中ではかなり下の方です。

それでもみんな自分と同じクラスとは思えないほど仕上がっていて圧倒されたのを今でも覚えています。特に隣に座ってるピアノ科の方がバキバキに出来ていたので授業後、声をかけてみたらなんと藝高上がりとのことで納得しました。

他にも視唱と分析を兼ねてモーツァルトの夜の女王のアリアをやった時はいつもは授業前に「眠い」とか「怠い」とかぼやいてる声楽の人たちが急に本気モードになってガチ歌唱した時も驚きました。この曲って一応歌うのがとても難しいと言われてる曲だったと思うのですがほぼ完璧って言ってもいいくらいバッチリ決めていましたし、何より生の声楽の人たちの声量に圧倒されました。

同じくソルフェージュの先生の無茶振りでバッハのヴァイオリンソナタを初見で弾かされたヴァイオリンの方の演奏もとても素晴らしかったのも記憶に残っています。しかもそれがステージの上ではなく同じ教室内で自分のすぐ目の前で繰り広げているわけです。

受験時代、ソルフェージュ関係は一番苦労して、一番嫌いな勉強だったのですがそんなことがしょっちゅうだったので大学入ってからのソルフェージュの授業は案外楽しかったです。それでもソルフェージュそのものは今も好きではないですが。

多分隠し撮りしてネットにアップしたらとんでもなくバズるくらいのインパクトが日常の風景になっていて、そんな才能の持ち主が自分の座っている席の前後左右に普通にいて、いつでも演奏を頼める環境があるのは藝大ならではなのかもしれません。

実際、後期の副科ピアノの伴奏試験で歌ってくれた声楽の人は前期のソルフェージュの授業で自分の前の席に座っていた方ですし、今度の自分の書いた二重奏の演奏をお願いするサックス奏者の人も英語の授業が同じだった方です。

手前味噌で恐縮ですが芸術方面の才能のある人の人口密度を測ったら間違いなく藝大が日本で一番だと思います。演奏会とかで聴くたびに上手すぎてヤバイなって毎回思いますし、もう一度人生をやり直して彼らと同じレベルまで演奏や歌を極められる自信はとてもじゃないけど無理です。

作曲の勉強自体はやろうと思ったら学校に行かなくても出来ますが、藝大よりも才能のある仲間との出会いに恵まれている場所はプロの現場を除外するとほとんどないと思いますし、個人的に受験時代と大きく変わったところはそこです。特に作曲をやっている人間にとってはこれは何よりのメリットかと思います。

とは言っても全員が天才なのかというとそういうわけではなくて、案外知らないことや出来ないことも多いです。なんだけどそれぞれの専門分野や得意分野においては非凡なものをみんな何かしら持っている、という感じです。

なので藝大というと天才ばかりで自分なんか受験したところでどうせ…と思ってしまう方も多いかと思いますが志があるのなら是非ともチャレンジしてもらいたいなと思います。特に作曲科は他科に比べると遅い年齢から勉強を始めた人が多いし、必ずしも小さい頃から音楽の英才教育を受けていないと受からないわけではありません。

あと一般教養が意外と充実しています。授業によっては普段は東大で教えてる先生が担当されているので東大に行かなくても東大の先生の授業が受けられるのはなかなかお得ではないでしょうか。特に個人的には美学の授業が面白かったです。美、芸術、感性といった領域を考える学問で内容も哲学だけではなくAIやゲームなど多岐にわたっていて毎回の授業が楽しみでした。

授業前に前回の授業のコメントシートの感想や質問で面白かったものを毎回先生が読み上げるのですが、こういう視点や考えもあったのか!という他の学生の意見やそのコメントを受けて新たに授業の内容が展開していったりと刺激的でした。ここだけの話、自分が書いたコメントが読まれる率が結構高めだったのでちょっと気恥ずかしさもあったのですが。

もし一般教養で何を取るか悩んでいる藝大生の方がいましたら美学の授業はおすすめします。もしも続きとなる授業があったらまた履修したいくらいですし、ここだけの話、単位も簡単に取れると思います(笑)。内容が面白いのにお得!Youtubeに先生の研究に関しての動画ありますので興味のある方はよければ観てみてください。

https://www.youtube.com/live/_MAF7W0vreo?si=139d2AvjKYZnc0wJ

も出版されています。

そして藝大の作曲科といえば切り離せないのが現代音楽。受験の時にやった和声や対位法などのエクリチュールは大学入学後にも継続して勉強するのですが、新たに始まるのが現代音楽の作曲です。自分もそうだったのですが、ほとんどの作曲科の学生はそこでこれまで勉強してきたことと大学で求められている音楽性のギャップに戸惑います。基本的に受験の作曲はだいたい古典派〜ロマン派あたりを想定して勉強することが多いので、ここでいきなりゲームチェンジするわけです。

一応、大学入学前から現代音楽はなんとなく聴いてはいましたが、やはり聴くのと書くのでは大きく違うわけで。しかも自分達よりも一年早く入学してきた2年生はもう既にバリバリ現代音楽を書いていて去年の5月の演奏審査で作品を聴いたときは正直一年後、果たして自分が彼らのように書けるのか全くイメージが出来ませんでした。

なので1年の前期の最初の2ヶ月くらいは何をしたらいいのか全くわからなかったのが正直なところです。何も書けずに出席を取るためだけに毎週レッスン室に向かうだけの日々はここだけの話、結構苦しかったです。

ただ図書館に現代音楽の楽譜やCDが豊富にあるのは助かりました。今はネットがあるので昔よりは現代音楽の楽譜や音源にもアクセスはしやすいですが、この手のジャンルのものはすぐに絶版になるし、特に輸入楽譜は高いし入荷待ちも多いので現代音楽の作曲や勉強をする上で大学の図書館がなかったら個人的には色々な意味で無理だったと思います。

そこで色々リサーチしていく中、出会ったのが矢代秋雄の「ピアノソナタ」。

https://youtu.be/sQxAxHD1hY8?si=ves-1wzbVjPKcULW

この曲を聴いた瞬間にこれかもしれないという感覚がありました。それまで全く止まっていた筆がゆっくりとですが動き始めました。ですので藝大や音大でこれから現代音楽を書くという人はまずは自分の方向性の基準となるような作曲家や曲を見つけるとスムーズかもしれません。

現代音楽やその作曲に関してはまだまだ語りたいことがありますがこれ以上書こうとすると非常に長くなるのでこれはまた別の機会とします。

他にも色々と書きたいことはありますが今回はこのあたりで。ブログの更新も二年次はもうちょい頑張ります。